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 2014年1月22日 

 東日本大震災の発生直後から、東京電力の原発事故への対応を克明に記録したテレビ会議映像記録。東電が開示に応じた映像を使った『報道ドキュメンタリー 東電テレビ会議 49時間の記録』(制作:OurPlanet-TV)を自主上映する動きが各地で広がっている。2月15日には、東北地方で初めて上映が、山形県鶴岡市で開催される。https://www.facebook.com/events/1408710499367164/

 鶴岡市での上映は、地元の市民でつくる実行委の主催で、OuePlanet-TVの白石草代表などが解説する。主催者では運営資金の一部を集めるため「READYFOR!(レディーフォー)」というシステムを使い、カンパを呼び掛けている。https://readyfor.jp/projects/toden49shonai

 『報道ドキュメンタリー 東電テレビ会議 49時間の記録』は2013年9月、ポレポレ東中野早稲田大学大隈講堂を会場にして開催された福島映像祭の企画として上映された。当日の入場を断る回も出るほど盛況だったため、制作者のインターネット放送局「OurPlanet-TV」が自主上映できるよう、市民向けに映像を貸し出すことを決めたhttp://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1664

 それ以来、東京や鎌倉など首都圏を中心に市民の手による自主上映会が開催されるようになり、今年は鶴岡のほか、2月27日には東京・日比谷 http://2011shinsai.info/node/49923月15日には新潟県長岡市http://nagaokatsukurukai.blog.fc2.com/blog-entry-251.html での開催も予定されている。

 東電テレビ会議映像記録には、バッテリーといった物資の調達に失敗し、事態の悪化を招いていく様子や、下請けに頼らなくては注水に使う消防車の運転もできなかった東電の対応、格納容器の異常上昇を巡り、その情報を発表しないよう求める原子力・安全保安院(当時)とそれに加担する東電と福島県とのやりとりなどが記録されている。国会や政府の各事故調の検証作業でも活用されるなど、事故の検証に欠かせない一次資料となっている

 東電はこのテレビ会議映像記録の公開を拒んだが、公開を迫るキャンペーン報道によって開示した。だが、映像の一部に「ピー音」が掛かったり、ぼかしが掛かったりするなど、加工された映像を開示するなど、東電は今も全面公開には応じていない。また、菅直人首相が東電に乗り込む2011年3月15日早朝のシーンなど、音声がなく映像だけのシーンもある。この公開キャンペーン報道は2013年の石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞奨励賞を受賞した。
     

01   2014年1月21日 
       『サンデー毎日』2014年1月26日号に掲載の吉田敏浩「安倍政権『沖縄分断』のたくらみ」です。